第12回 高周波アナログ半導体技術セミナー報告 |
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□テーマ: 「PLCおよびホームLANの現状と展望」 □日 時: 平成20年 5月22日(金)15:00〜17:10 □場 所: JSTイノベーションプラザ京都 平成20年5月22日、JSTイノベーションプラザ京都において第12回高周波アナログ半導体技術セミナーが開催された。今回は、「PLCおよびホームLANの現状と展望」をテーマに、発展著しいLAN分野で活躍されている大学及び企業開発代表者を講師に招きセミナーを開催した。参加者は30名弱であったが、デバイス、システム、要素技術に関して良くまとめられた内容で活発な討議が行われた。 また、講演終了後の交流会にも10数名ほどの参加を得て、いつものように熱気に溢れた意見交換が行われた。講演の概要は以下の通りである。 |
◆基調講演:「2010年を目指す各種無線システムの動向」 太田 現一郎 氏 早稲田大学 国際情報通信研究センター 客員教授 |
「2010年を目指す各種無線システムの動向」と題して早稲田大学国際情報通信研究センター客員教授の太田現一郎氏によって行われた。 氏は現在、横須賀テレコムリサーチパークの事業企画室にも所属され、研究の最前線におられる立場から、これまでの日本および世界での取り組みを概観し、YRPの活動紹介、そして2010年―2020年を見据えた各種無線システム技術の動向について、その開発背景、および寄って立つ基盤技術の動向などを詳細に解説された。 当日は最初に講演いただくところ、東京での総務省の会議が緊急に入ったこともあり、三番目の講演になったが、豊富な資料を下に発表され、参加者とも活発な質疑応答がなされた。 特に、今後の標準化という視点では、これまでの反省を軸に、今後日本がどのようにすればグローバルスタンダード獲得競争でイニシアティブをとっていけるかについて、その課題提起がされ、詰まるところ、その分野で世界と渡り合っていける人材の発掘、育成こそが最重要課題であり、さらには、アイディアで連携する際の仲間つくりが必要であるとの認識を示された。 技術面では、今後ミリ波に向かうのは必然で、基地局では省電力化が一層重要となる一方、今まで以上に半導体技術に依存することになるだろうとの展望が示された。 |
◆講演1.:「HD-PLCの取組み・最新技術動向と応用事例〜HD-PLCで広がる! みんながつながる!〜」 宮崎 富弥 氏 パナソニックコミュニケーションズ(株) 標準化・アライアンス推進室 TL |
「HD-PLCの取り組み・最新技術動向と応用事例〜HD-PLCで広がるみんながつながる!〜」と題して、パナソニックコミュニケーションズ兜W準化・アライアンス推進室TLの宮崎富弥氏より発表があった。 ビデオ放映を含め、パナソニックが注力しているPLC技術、特にHD-PLCの取り組みについてわかりやすい解説がなされた。 2006年からスタートした実用化は、海外ではまだHD化は進んでいないが、国内では94%がHD-PLCになっており、順調に進んでいる様子を窺わせた。世界最小PLCアダプタも開発されてきており、本来からの用途であるホームネットワーク対応はもちろん、グリーンユビキタスの視点が導入されようとしているなど、環境/CO2削減へ向けた新たな価値の創造という大きな広がりをも期待できるとの興味ある講演内容であった。また、会場からの質問の中には、医療現場でのノイズ等の影響を含む信頼性についてもっと積極的な情報開示を期待したいとの声があった。 |
◆講演2.:「ワイヤレスHDMIモジュール(HDMIスティック)の開発」 清水 潤三 氏 シリコンライブラリ(株) 代表取締役社長 |
「ワイヤレスHDMIモジュール(HDMIスティック)の開発」と題して、シリコンライブラリ椛纒\取締役社長の清水潤三氏による講演があった。氏はNECでのライブラリ開発の経験を活かし、2005年に退職と同時に同社を創立された。 ベンチャーとしての立場から、HDMIの無線化への展望、標準化に向けた取り組み、そしてそこでのシリコンデバイスの役割についての講演であった。 特にHDMIのワイヤレス化については、コンソーシアム(CoMPA)主導で2008年5月に標準化完了という大きな動きが実現しつつあり、その流れの中でベンチャーとしてのビジネスの開発体制と分担といった観点および今後の産学連携強化についての提言など、幅広い視点からの有意義な講演であった。 |
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