第16回 高周波・アナログ半導体技術セミナー報告 |
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□テーマ:「LED照明技術」 □日 時: 平成21年6月30日(火) 14:00〜17:10 □場 所:京都テルサ(京都府民総合交流プラザ) 第16回高周波・アナログ半導体技術セミナーが、平成21年6月30日に京都テルサ(京都府京都市)で開催された。今回のテーマは「LED照明技術」で、この分野で活躍されている大学及び企業の方々を講師にお招きして開催された。参加者は約60名で、照明の世界に革新をもたらしつつあるLED照明に関して、デバイス要素技術から応用分野にわたって現状と将来展望について活発に討論が行われた。またセミナー終了後の交流会も35名程度の参加を得て、いつものように熱い意見交換が行われた。 以下、講演の概要を報告する。 |
◆基調講演:「LED照明技術の現状と展望」 田口 常正 氏 山口大学 大学院 理工学研究科 教授 |
初めに白色LED光源の原理、方式、特性、評価等について解説され、白色LED光源が、材料技術、実装技術、特性など様々な面 で、従来の照明光源とは大きく異なっており、総合的な理解とそれらを考慮した取り扱いが必要であることが強調された。続いて白色LED光源の性能向上の進展、現状および今後の普及に向けた課題が示され、現在取り組んでいる近紫外光LEDと蛍光体を用いた高効率化への取り組みについての報告があった。白色LEDの一般照明光源としての応用に期待が寄せられているが、本格的に普及するためには、材料、デバイス技術だけでなく関連する技術をはじめ照明工学としての学問体系の確立と教育の必要性について力説された。また、今後の発展のために学会等オープンな場での産学による議論の必要性を強調され、新たな産業の育成には学術的な基盤の確立と標準化等に向けた産業界との連携の必要性を改めて認識することができた。 |
◆講演1:「GaN系LED開発の歴史と現状」 太田 光一 氏 豊田合成(株) 常務取締役 |
豊田合成の業容紹介に続いて青色LED開発の歴史、特にそのブレークスルー技術の開発経緯と特許化や産学連携による成果について説明された。その後、LEDの車載用途を初め様々な応用事業展開について具体例を交えて紹介された。また、白色LED光源による既存光源の置き換え展開による省エネ効果についても解説され、今後のロードマップに沿った性能向上により大きな省エネ効果が期待できることが示された。今後期待される技術として、発光効率向上に向けたa面サファイア上のm面GaN成長技術やGaNバルク基板の開発についても紹介され、性能向上により一般照明の広大な市場への展開が期待できることが示された。 |
◆講演2:「LED応用ビジネスの可能性と今後の展開」 米田 賢治 氏 シーシーエス(株) 代表取締役社長 |
主力事業であるマシンビジョン照明事業と呼ぶ画像処理用LED照明事業について、その市場とニーズに対して新たに開発した製品の紹介があり、LEDの持つ特徴が生かされていることが説明された。この会社が持つコア技術はLEDの特徴を生かしたソリューション技術と自然光LED技術にあることが示され、それらを元にした新規事業として民生・商業用照明、植物栽培・バイオ分野への取り組みについて紹介された。特に植物工場への展開についてはプラント事業へと本格展開が進められ、農業革命に向けた将来展望が示され、関心を集めた。 |
◆講演3:「LED照明の未来」 大利 富夫 氏 パナソニック電工(株) LEDデバイス開発センター 部長 |
初めに、照明による電力消費が全電力消費量の約15%を占めており、次世代の照明を考える上でCO2排出量の削減の役割を考えておく必要があることが述べられた。LED照明の現状は、発光効率が急激な勢いで向上しているが、蛍光灯の効率には達しておらず、更なる効率の向上が重要な技術開発のポイントであること、更に光の質の向上と共にコスト削減が求められることが示された。 また、LED照明の採用事例がいくつか紹介されたが、現状のLED照明器具の大半が電気用品安全法の対象外となっており、早期な法整備と規格整備の必要性を訴えられた。最後に有機EL照明についても言及され、LED照明との棲み分け、更には消費電力削減に向け今後の高効率照明の重要性を強調された。 |
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