高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第18回 高周波・アナログ半導体技術セミナー報告
□テーマ: 「高周波・アナログ半導体の水平分業の動向と将来展望」
□日 時: 平成21年12月22日(火)13:30〜16:40
□場 所: 横浜市技能文化会館 大研修室802

 
第18回高周波・アナログ半導体技術セミナーが、平成21年12月22日に横浜市技能文化会館(神奈川県横浜市)で開催された。今回のテーマは「「高周波・アナログ半導体の水平分業の動向と将来展望」で、アナログ半導体・ミリ波半導体の製品企画、ウェハーファウンダリを取り上げ、この分野で活躍されている方々を講師にお招きして開催された。参加者は41名で、日本での半導体業界をいかに活発にするか、高周波・アナログ半導体に的をしぼり、要素技術から応用分野にわたって現状と将来展望について活発な討論が行われた。またセミナー終了後の交流会も多くの方にご参加いただき、いつものように新たなネットワーク作りと共に、熱い意見交換が行われた。 川手 啓一氏の開会挨拶に続き行われた講演の概要を報告する。
◆講演1:「アナログICの現状と将来」
         丸田 秀一郎 氏  北九州産業学術推進機構(FAIS) 半導体技術センター長
 始めに北九州学術研究都市の紹介があり、その後、半導体市場の現状について、半導体産業は成熟し、高度成長から安定成長へ移行、更にアジア市場を中心になってきているとの認識を説明された。日本の半導体業界での問題点として、超汎用製品を開発するための仕様作成能力・自主開発能力を失ってきていることは非常に大きな問題という問題提起がなされた。アナログ半導体は物理層とのインターフェースとして周辺機器には必要不可欠である。技術的課題としては、超高周波対応、パワー対応、ノイズ対応などがあげられる。今後の日本のアナログ技術の進むべき道として、自主企画力を醸成し、上流側への早期の移行を進め、低電圧、高周波、パワー、ミクスドシグナル、実装 等、高度化へ進むべきと主張された。
◆講演2:「シリコンファウンダリの現状」
         鈴木 寿哉 氏 富士通マイクロエレクトロ二クス(株) ASIC/COT事業 国内マーケティング部長
 シリコンファウンダリの市場規模として2010年WWで$20Bで今後5年間で210%の伸びが見込まれている。現在主要4社で市場の70%を占めている。微細化は進み2010年には90nm以下が半分を超えるであろう。 Legacy品はコスト競争によりPureLogicでは価値を乗せにくく、Mixed Signal,RF,高耐圧などに向かっていく。アナログ市場自体は堅調な伸びを示しており、ミリ波を含めたRFデバイスがCMOS技術で高周波化、低電力、が実現されている。更には検証されたLogicIPとのOne Chip化も可能となってきている。富士通マイクロエレクトロニクスにおけるRFCMOSの実績としてWiMax、ミリ波(60GHz)ICの紹介がなされた。同社のファウンダリの際のインターフェース、PDK提供、乗合いバス方式、超特急ロットについて説明がおこなわれた。
◆講演3:「ミリ波用化合物半導体製品の設計」
        末松 英治 氏  シャープ(株) システムデバイス第二事業部 副参事
 ミリ波用化合物について、開発の観点でアプリケーションからシステム、具体的な開発事例まで説明があった。初めにミリ波を用いた屋内外の放送信号の無線伝送アプリケーションの紹介があり、次に屋内伝送用として、「ワイヤレスHD方式(CMOS)」と「反射伝送方式(GaAs)」について比較検討を含めた紹介がなされた。CMOSは、チップサイズが大きくなるとコストで厳しくなり、化合物の出番となるが、化合物の特性を生かすシステム構築が必要であると主張された。その後、化合物半導体MMICの回路例やアンテナとの一体型モジュールについて具体的な特性データを交えた設計事例の紹介があった。加えて、モジュールの小型化や低コスト化についても説明された。最後に、ミリ波を使ったデジタル放送の集合住宅における縦系及び横系の伝送システムの紹介があり、屋外は、特性の面で化合物が有利と主張された。この後、上記開発事例に関して具体的な議論がなされた。
◆講演4:「化合物半導体ファウンダリの現状」
         矢野 浩 氏  住友電工デバイス・イノベーション(株) 光デバイス事業部 プロセス開発部長
 化合物半導体ファンダリについて、住友電工デバイス・イノベーション(以下、SEDIと呼ぶ) のファンダリビジネスの具体的説明がなされた。SEDIIのファンダリ技術戦略、各プロセスのファンダリメニュー及び特性(DC、RF)、特性の分布、信頼性・寿命、断面構造等についての紹介があった。次にシリコンと化合物半導体の比較を集積度、耐圧、遮断周波数について説明され、化合物半導体の強み、弱みと化合物半導体の進むべき方向についての説明がなされた。最後に化合物半導体ファンダリの市場動向の説明がなされた。化合物半導体のファンダリは、まだファンダリ全体の10分の1程度だが、2007年から2008年で急激に増加しており、今後とも需要は伸びるとの報告があった。また、化合物半導体の価格が高いという弱みに対しては、高性能、高機動力を生かして、ハイエンドやニッチ市場でシリコンと棲み分けを図るべきと主張された。その後、SEDIのファンダリに関する質疑応答や技術/市場動向について活発な議論がなされた。

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