第19回 高周波・アナログ半導体技術セミナー報告 |
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□テーマ:「電源技術の最新状況と今後の動向」 □日 時: 平成22年3月26日(火)14:30〜17:00 □場 所:京都テルサ 西館3階 第2会議室 第19回高周波・アナログ半導体技術セミナーが、平成22年3月26日に京都テルサ西館3階第2会議室(京都市南区)で開催された。 今回のテーマは「電源技術の最新状況と今後の動向」で、この分野で活躍されている方々を講師にお招きして開催した。 参加者は46名で、スイッチング電源、SiCパワーデバイス、LEDドライバーなどについて要素技術から応用分野にわたって現状と将来展望について活発な討論が行われた。 またセミナー終了後の交流会も多くの方にご参加いただき、いつものように新たなネットワーク作りと共に、熱い意見交換が行われた。 紙中 伸征 氏の開会挨拶に続き行われた講演の概要を報告する。 |
◆基調講演:「スイッチング電源の高度デジタル制御」 樋口 幸治 氏 電気通信大学 准教授 |
始めに通信機器の電源システム、DC-DCコンバータの方式そしてその従来の制御についての説明があり、その後、CPU,FPGAのDC-DCコンバータへの要求が整理された。コアクロックの高速化、製造プロセスの微細化、CPU,FPGAの低電圧・大電流化という要求にたいして、CPU,FPGAが誤動作・故障しないように電圧精度を数%以内に抑制する技術が課題であることが明確にされ、その方向として、近似的2自由度制御によるディジタルロバスト制御DC−DCコンバータが提案された。 そしてそれを小形・低損失なデジタル制御用DSPで実現する試みがなされ、SHマイコンによる制御、非絶縁型+SHマイコンといった試作機が紹介された。今後の展開として、スタートアップ応答のさらなる高速性の実現が望まれるが、アナログ制御より、高性能な制御を実現でき、コスト的にも問題ないことが広く知れ渡ればデジタル制御電源は普及するものとの結論が示された。 |
◆講演1:「SiCパワーデバイスの開発動向と応用展開」 四戸 孝 氏 (株)東芝 研究開発センター 電子デバイスラボラトリー |
最初にSiパワーデバイスの発展と限界について、その市場、開発の歴史が紹介され、ついでSiパワーデバイスの最前線、次世代パワーデバイス用材料の特徴、次世代パワーデバイスの応用分野、SiCウエハの技術動向、SiCウエハの大口径化・高品質化の進展状況などについて説明が行われた。その後、東芝における開発実績が、SiC−SBD、SiC−MOSFET、そのシステムへの適用効果、さらに昇圧チョッパ回路への適用、電動自動車用インバータへの適用、高耐圧高速変換器への適用などについて詳細な説明がなされた。加えて、次世代パワーデバイスの開発フェーズの移行、パワーデバイスの周辺技術、次世代パワーデバイスの応用分野の拡大、高パワー密度化(小型化)のロードマップについて述べられた上で 次世代パワーデバイスの将来動向として、@4"φ低欠陥密度のSiCウエハの量産が始まり、数十A級のSiC-SBD,10A以上のSiC-MOSFET量産が可能となる。ダイオードから本格的な普及が始まる。A次世代パワーデバイスの高温動作、高電流密度、高周波動作という特性を引き出すために、信頼性、実装、制御、冷却、受動部品など周辺技術開発が今後の重要課題となる。B小型化(高パワー密度化)、高効率化のメリットを最大限に活かせるキラーアプリの開拓が成功の鍵となる、などの結論が示された。 |
◆講演2:「LED電源技術の現状と今後」 芳尾 桂 氏 日本テキサス・インスツルメンツ(株) ワールドワイドパワーマネジメント デジタルコンシューマー パワー製品部 デザインマネージャー |
従来の各種照明技術とLED、OLED(有機EL)を含むSSL(Solid State Lightning)の効率比較から講演は始まった。そして、LEDにおいていかに白色光を創るか、LED技術のロードマップ、LEDを照明に適用する諸々の挑戦について説明がなされた。つぎにLEDの応用として各種照明分野やLEDをドットマトリックスディスプレイに応用した例が示された。 そしてLED照明における駆動技術に焦点があてられ、定電流駆動か定電圧駆動か、またシリアル駆動かパラレル駆動かについてそれぞれの特徴、課題が整理された。最後にLEDドライバーの例が紹介され、ドライバーICの消費電力、定電流マッチング、輝度制御、スイッチング速度などが議論された。 結論として、@LED技術の進展は非常に速く、消費電力のより少ない、またよりフレキシブルな照明方法論が展開される。Aモバイルから建築用照明まで、多くのLED応用が提案される。B照明デザインのポイントは電力消費で、要求されるシステムにあった最適構成が選択される。Cデザインのし易さ、また、より高効率の受動部品(特によりフレキシブルなデザインのためのインダクタ)に望まれることについて、いくつかの解が提案される、が示された。 |
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