第26回 高周波・アナログ半導体技術セミナー(第68回IP設計委員会セミナー)報告 |
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□テーマ:「生活習慣病、未病からの改善と生活・生体リスクモニター」 □日 時: 平成23年11月21日(月) 13:30〜17:00 □場 所: 横浜ビジネスパーク ウエストタワー7F 中会議室 第68回IP・設計委員会セミナーが、平成23年11月21日横浜ビジネスパーク(横浜市保土ヶ谷区)で開催されました。 テーマは「生活習慣病、未病からの改善と生活・生体リスクモニター」で、生活習慣病の予防にエレクトロニクス産業がどの様に寄与出来るのかを明らかにする為に、予防による医療費の増加抑制効果、モニター対象の生体化合物、判別に必要となる多様な分別特異性を簡便・安価に実現するバイオセンシング・プラットフォーム、血糖センサの製品化に取り組んだエレクトロニクス企業の開発事例につき、この分野で活躍されている3氏をお招きし講演いただきました。 |
◆講演:「生活習慣病の為の生体リスクモニター・プラットフォーム」 藤本 潔 氏 ( (財)北九州産業学術推進機構 産学連携センター) |
「歯周病は、糖尿病や動脈硬化などの全身の健康と関係していることが分かっている。しかし、歯周病の診断は歯科医の知識や経験に左右されやすく、簡単で定量的な検査方法が確立されていない。 北九州市内大学の歯工連携研究開発プロジェクトでは、電気化学的な検出という新しい歯周病診断装置の開発を進めている。 歯周病検査は、現在目視によるプラーク付着検査、歯周ポケットの深さ、歯の動揺(ぐらつき)の検査が主に行われているが、主観的判断によるもので診断結果の信頼性に問題がある。また、生化学的検査はコストが高くつくという問題がある。 これらの問題を解決する為、上述のプロジェクトによる研究開発では @的確かつ科学的根拠に基づいた、 A歯科の臨床現場で使用可能な B装置・ランニング共に低コストで、コンパクト、簡便で、 多種類の生体分子を迅速に検出する定量的歯周病総合診断システムの開発を目指している。 具体的テーマとしては、歯周組織破壊酵素検出システム、歯周病原因菌検出システム、炎症性メディエータ検出システムの開発がある。そして、開発された検出チップを用いた臨床現場で使用可能な小型装置の開発を行う。さらに臨床データの取得を行い試作品の性能評価を行うことにしている」 |
◆講演:「パナソニックヘルスケアにおける血糖センサの開発」 南海 史朗 氏 (パナソニックヘルスケア梶@顧問) |
「国内の糖尿病患者と予備軍の数は年々増加していて、平成19年時点で患者数は890万人、予備軍を入れた数は2,210万人いる。 糖尿病のマーカーには血糖値、ヘモグロビン(HbA1c)その他がある。 血液の成分は血漿と細胞成分に分かれるが、それらがさらに細分化して多種多様な成分に分かれるが、その中からグルコースだけを選択的に検出・定量する。 それには基質選択性を持つ酵素を活用する。バイオセンサとは生体や生体分子の持つ優れた分子認識能力を利用し、目的物質を選択的かつ高感度に計測するセンサーをいうが、検出は電圧、電流、吸光、蛍光、発光の信号変換で行う。これらの技術により電気化学式グルコース(血糖)センサーを作る。 血糖センサシステムに求められる性能は、再現性、正確性、高感度、特異性、迅速性、非侵襲性などがある。センサーの精度、信頼性に影響する因子は、採血操作、血液サンプル、センサー自体などがある。センサーの全体構成のなかで、親水性高分子による電極被覆術、電子伝達体、キャピラリ構造、電極試薬層配置、カバースペーサ構成などを検討する。 血糖以外への展開としては、血中乳酸センサーによる疲労度のチェックでスポーツ医学に応用し、また、バイオセンサの食品応用として、乳酸センサー、糖分センサーが用いられる。 今後の方向としては血糖測定の非侵襲化、連続計測、マルチセンサ、IT技術と連携して種々のヘルスケア情報との連携活用、相互接続性の確保などが上げられる。」 |
◆講演:「生活習慣病の予防医学・臨床現場から見た生活・生体リスクモニターのニーズ」 杤久保 修 氏 (横浜市立大学・大学院特任教授、神奈川県予防医学協会・理事) |
「日本はこれから人口減少、少子高齢化が進み、高齢者が病気になってもそれを支えることが不可能になる恐れがある。 日本は長寿国とされているが、寝たきりになる年数が欧米に比べて長く、発生率も高い。 日本は脳血管障害の発生率が高く寝たきりになり易いが、欧米は心疾患が多く、寝たきりになりにくい。日本は老年者の増加が急であり医療費は肥大化して、医療崩壊の危機にある。 寝たきりになる原因の一番は脳血管障害(脳卒中)で全体の48%を占める。 癌、脳卒中、心筋梗塞などの原因は遺伝によるものは20〜30%であり、70〜80%は自己責任(生活習慣)である。 脳血管障害予防の為にはSOSの減少が必要である。 即ちSalt(塩分)を12g/日から5g/日に減らし、Obesity(内蔵型肥満メタボリックシンドローム)を改善し、Stress(睡眠不足)を減らすことが大事である。 これにより脳血管障害予防と要介護者の減少が期待できる。この為には血圧等の評価・管理が大切だが、現状では血圧は正しく測られていない。 血圧は1日中変動しているので、1点だけ測定しても不十分である。血圧の把握を含め、ユビキタス型(アクセサリー型)センサーが必要になる。 腕時計型加速度・心拍数記録計(ストレスタコメータ)、腕時計又はイヤリング型血圧計、ネックレス・ペンダントの心電図等により、何時でも何処でも体の状態を計測し、携帯電話を通して解析センターに送り、そこから病院、栄養管理センターに送るシステムが考えられている。 現代人は自分でエネルギーを使わずに、車や家電製品などにエネルギーを使わせている(高炭素社会)。そして必要以上にエネルギーを摂取している(過食)。これが肥満、高血圧、糖尿病の原因になっている。もっと自分で体を動かし、かつエネルギー消費に見合った食事をするべきだ(低酸素社会)。 また、日本人は一般に塩分を取り過ぎているが、これが脳卒中、虚血性心疾患の一因になっている。食塩摂取のコントロールには食塩摂取量の把握が必要で、尿塩分計などいろいろな取り組みがなされている。そして健康長寿を目指すユビキタス型医療保健システムは次のように考えられている。ユビキタス型センサーにより、人体情報(血圧、体温、脈拍数、心電図、血糖値、SPO2等)を常時把握し情報分析バンクを介して病院、予防医学協会、救命センターに送る。 健康産業は機器の支援をし、配食産業は個人(特に老人家庭)では作る事が困難な健康上理想的な(栄養バランス、低カロリー、減塩、食材20品目以上等)食事を作り各家庭に配送する。 これらのシステムを構築して、寝たきり老人を出さない、健康で80才まで働けるようにする。こうして医療費の肥大、年金の破たんを防止して健康長寿社会の実現を目指す」 |
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