第34回 高周波・アナログ半導体技術セミナー報告 |
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□テーマ:「ワイヤレス給電技術の現状と将来」 □日 時: 平成26年 1月 23日(木) 14:00-17:00 □場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 今回のテーマはユビキタス志向が強まる現在、世界中で膨大なインフラ投資が期待でき、関連市場が急成長を遂げると予想されている「ワイヤレス給電技術」を取り上げた。この分野の最前線で活躍されている3名の方を講師にお招きし、最新の現状、動向などをお話し戴いた36名の参加があり、またセミナー終了後の交流会にも多くの方々が参加され、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、様々な新たな連携が促進された。 以下、講演概要を報告する。 |
◆基調講演:「電磁波を用いた無線電力伝送と、世界の無線電力伝送の研究開発状況」 篠原 真毅 氏 (京都大学 生存圏研究所 教授) |
基本的に無線電力伝送は「マックスウェル方程式」で記述され、その歴史は長く150年くらいまで遡ることができる。ワイヤレス給電には、電磁誘導、共鳴(共振)送電、マイクロ波エネルギー伝送の3タイプがあり、それぞれの特徴と世界の状況について説明がなされた。 講演後半では講師の専門分野である電磁波無線電力伝送システムに関する紹介がである。 当該技術は周波数が高いほうが伝送効率が良く、GHzが主に用いられる。システムとしてDC-RF変換、マイクロ波伝送、RF-DC変換の過程で損失が生じるが、全効率90%以上の実現は期待できる。しかし特に、RF-DC変換での高周波用ダイオードの良いものがないのが現状である。 電磁波無線電力伝送の様々な応用が、(a)ビーム型(高効率)、(b)ユビキタス型(緩い位置決め)、(c)ハーベスティング型(送電器なし)のタイプ別に紹介された。(c)は色々な目的で生活環境に飛び交っている電波からエネルギーを得るもので、mW以下のエネルギー生成が実現している。(b)では会議場所などの小空間や災害時の被災地など特定空間へのエネルギー送電について紹介があった。(a)では電気自動車や飛行機などの移動体、そして宇宙空間での発電・地球への送電構想などの紹介があった。 |
◆講演:「EV用ワイヤレス給電の動向と課題」 高橋 俊輔 氏 (早稲田大学 環境総合研究センター客員上級研究員) |
EVの普及に伴い非接触式給電方法の必要性が増している状況が説明された。 EV用のワイヤレス電力伝送には、電磁誘導方式、電波方式、磁界共鳴方式があり、それぞれの方式の開発動向及び方式の比較が紹介された。各社各様に開発がなされており、自家用車などに実用化されるため標準化の必要性が強調された。次に、直ちに標準化の必要ないバス用の製品化されたワイヤレス給電システムの紹介と世界各地で行われている実証事業の紹介があった。 ワイヤレス給電の課題には、電磁界の漏えいと人体への影響、電力伝送空間への異物の混入、道路法への対応、ずれない正着性の確保などが挙げられ、解決に研究開発がなされている。今後の当該分野の開発方向としては高速道路走行中のEV自動車など移動体への給電システムの開発を目指している。 |
◆講演:「ワイヤレス給電Qi(チー)規格の現状と今後」 黒田 直祐 氏 ((株)フィリップス エレクトロ二クス ジャパン 知的財産・システム標準本部 システム標準部長) |
現状の機器用電池には充電容量への不満が根強く、機器へのいつでもどこでも簡単に充電ができる環境の実現が要望されており、それには、1:インフラ整備(いつでもどこでも)、2:互換性(標準規格とロゴ)、3:ワイヤレス化(簡単)が必要である。 ワイヤレス給電は古くから利用されているが、機器の互換性がなく本格的普及には至っていない。そのため電力伝送をワイヤレスで安全・確実に実現するための必要最小限のルール作りのためWireless Power Consortium(WPC)が設立され、Qi規格を策定した。Qiとは日本語の「気」:生命のエネルギーを意味する。現時点でメンバーは約200社である。他の団体にはPMA、A4WPがある。WPCでは今後取り扱うパワーを5W→15W、将来は120Wまで拡張、コードレスキッチン規格の策定などを行う予定である。 |
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