第45回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告 |
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□テーマ:「技術革新が期待されるIoTシステムの動向」 □日 時: 平成28年11月15日(火) 14:00~17:00 □場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) IoTまたはインダストリー4.0と呼ばれるイノベーションが始まっている。 そこで今回、「技術革新が期待されるIoTシステムの動向」をテーマに、IoTシステムに必要なデバイスおよびシステム技術の開発、実際のビジネスにおいてIoTシステムを実現する事にご活躍されている方々を講師としてお招きし、セミナを開催した。 40数名の参加があり、活発な質疑、討論が行われた。またセミナ終了後の交流会でも、講師を囲んで活発な意見交換が行われた。 以下、講演概要を報告する。 |
◆講演:「㈱デバイス&システム・プラットフォーム開発センターの創設とIoT縦型連携の取り組みについて」 齋藤 昇三 氏((株)デバイス&システム・プラットフォーム開発センター 代表取締役会長) |
IoTシステムで収集・蓄積したリアルな世界(フィジカル空間)のデータを、ノウハウや経験・知見を基にモデル化・分析し(サイバーフィジカルシステム)、リアルな世界にフィードバックすることで、新たな社会的価値を創造する超スマート社会を実現する流れ、これがIoTと呼ばれるイノベーションの流れである。 このような流れの中で、(株)デバイス&システム・プラットフォーム開発センター(DSPC)は、日本の半導体産業の競争力を強化して行くために、新しい市場としてIoT市場を選択した。 年間1兆個のセンサーを使うIoT社会を作るためには、電池交換が不要な無線センサネット、個別最適化自動制御、次世代エッジコンピューティングのプラットフォーム化が必須である。 DSPCの事業内容は次の2つである。 ①IoT推進の為の横断技術開発プロジェクト (NEDOの委託事業、5年間(H28年~32年)で170億円、産官学の連携体制で開発する) 次世代のIoT推進を支える分野横断的な共通基盤技術(超低消費電力センサーモジュール、 自立電源モジュール、高密度モジュール実装技術、データ収集システム、高速大容量データ ストレージシステム、人工知能計算機基盤技術、セキュリティ、など)を創出する。 ②データ収集端末プラットフォーム(発電部、電源部、センサー部、無線部)の開発(自主事業) なお、開発に足りない技術・サービスは、オープンイノベーションで積極的に協業する。 日本が勝つ戦略について IoT市場は日本が強いインダストリー市場から立ち上がり、超スマート社会へと移行して行く。 アプリケーションセグメント毎に異なる技術チャレンジが出て、それが定着する。このような市場、技術チャレンジは、日本に勝つチャンスがある領域である。 インテリジェント・センサーシステム、エッジヘビー・コンピュータシステムなど、クラウドより下層に付加価値を置く戦略でIoT に臨めば、日本に勝ち目がある。 |
◆講演:「住宅・自動車・B2B、工場でのIoTトレンドと課題」 梶本 一夫 氏(パナソニック㈱ 全社CTO室 理事) |
〇技術10年ビジョン - IoT/ロボティクス領域 ・AIロボティックス家電(家事からの解放を目指す) 洗濯、乾燥、アイロン、たたみ、収納の自動化技術の開発に着手している。 ・自動運転・コミュータ(事故・渋滞ゼロを目指す) ミリ波レーダの高精度・高視野角化技術を発表。AI研究開発に関する情報発信をWeb上で開始。 ・店舗・接客ソリューション(接客品質の向上を目指す) ローソンパナソニック前店を開店、利便性の提供、健康の提案について、実証実験を展開中。 ・次世代物流・搬送(労働力不足の解消を目指す) 自立搬送ロボットの新JIS安全認証規格を初取得。物流拠点での実用化研究を行う。 〇家・車連携 ナビで自宅のエアコンの制御ができる(切り忘れ防止、自宅到着前に起動)。 〇HEMS 自宅の機器群を、室内モニター、宅外ではスマートホンで制御する(大和ハウスと協同)。 〇航空関連 B2B2C 機内で、オンディマンド音楽・映画・ゲームの配信、WiFiサービス。 B2B システムの状態を飛行中も把握、着陸と同時に補修。 IoTの動向の紹介 住宅分野 機器からサービスまで垂直統合型(サイロ型)のアーキテクチャーで構成され易い。 W3C(WrldWide Web Consortium)のWoT(Web of Things)はサイロ型アーキテクチャーの 問題を解決する方法の1つである。 産業分野 製造機器のIoT化のねらいは以下の通りである。 ・開発効率向上・品質向上 ・マスカスタマイゼーション(デジタルツイン(Mirroring Model)) ・トレーサビリティ(リモートメンテ 最適な運用の提案 不具合の原因追究など) ・IotのIoT(複数メーカの機器同士が簡単に相互接続可能になるようにする。) ・アプリマーケットの創出 製品の世代交代潮流が単品技術からエコシステム(ソフト作りによるルール作り)へ変化しており、欧米メーカのビジネスモデルは、顧客ニーズに合わせる環境の提供とソフト・ハード開発者+生活者のエコシステム形成に進化している。 例) iPad , Apple Store →iTune → iPad Touch → iPhone → iPad 日本は、エコシステムをコアコンピタンスの一つと捉えないため、最後に他国のエコシステムに飲み込まれる。これが日本の課題(日本病)である。 電機業界復活の処方箋は、戦略を、ことづくりファースト、ソフトウェアセカンド、ハードウェアラストとして、プロセスは、オープンイノベーションを採用し、戦術として、ストック型ソフトウェア開発を行い、人事・技術の点では、コーディング重視・運用重視として、意思決定では、現場へエンパワメントをすべきである。 |
◆講演:「モノづくりの将来像 ~IoT時代を背景とする産業生態系の変革が生じる中で~」 河田 薫 氏(三菱電機(株)名古屋製作所 e-F@ctory推進プロジェクトグループ 主管技師長) |
FA機器は、ノウハウ、匠の技などと表現される論理体系(アルゴリズム)の実行環境である。例)自動ネジ締め:ねじ込み量とトルクカーブを、設定カーブに、誤差範囲で合う様に制御する。 IoTで作るビジネスとは? 例えば、GEのPredixについて。140万の医療機器と2.8万基のジェットエンジン他、1兆ドルのアセットに対して、1000万のセンサーを取り付けて日々5000万件のデータを収集して、新技術を活用した解析を行い、論理体系を構築する。 この論理体系を活用して、価値を探す(GEの投資回収と利益の原資を探す)。例えば、ジェットエンジンの場合、論理体系を活用して見出した、ジェットエンジン自体の保全コスト低減、環境・気候に応じた使い方による燃費低減 という、運用コスト低減アプローチを航空会社に提案し、航空会社からGEの投資を回収する。 商売の種とは、世界中に溢れるリソース(調査、認識が必要)から、最適リソースを抽出・選択して、最終的には人の判断で、ビジネスシステムを生成・更新する。そして、俯瞰視点と細部視点から、ビジネス全体を管理する。 モノづくりとは、個々の業務・役割のために配置された、互いに連携する実行リソース(処理系)の集合体であり、全体がエコシステムである。 次世代モノづくりとは、変わらないもの、加わるもの、変わるものによって、進化してゆくモノづくりである。ただし、本質は変わらない。 匠の技術の継承が意味するところは、・論理体系として確立している、・長い年月の中で培われ脈々と流れ続ける日本人の心、倫理観、正義感であり、これが日本のモノづくりである。 全体の中で、詳細化される管理基準に基づき動作するリソース状態の把握がモノづくりシステムの根幹を支える。即ち、全体が見えていることが重要である。 |
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