高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第48回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告

           



□テーマ:「ワイドギャップパワー半導体技術の動向」
□日 時: 平成29年9月26日(火) 14:00~17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 半導体発光デバイスは小型軽量、高効率であるため、照明をはじめ様々な分野に使われるようになっており、赤外から可視域においては既に重要な産業として発展している。こうした中で、紫外領域の光源は、生化学分野における計測、分析や材料加工などへの応用をはじめ、深紫外光による殺菌、浄水、医療応用、公害物質分解等への応用に向け、光源の半導体化が始まっている。近年、窒化物系ワイドギャップ半導体の研究が進み、高効率な短波長発光デバイスが実現できるようになり、紫外域における産業応用への期待の高さから、実用化に向けた活動が活発に進められている。
 このような背景のもとで、今回のアナログ技術トレンドセミナは、「短波長光半導体技術の動向」をテーマに、この事業分野の最先端でご活躍されている方々を講師としてお招きし、最新の産業/技術動向に関するセミナを開催した。
 30数名の参加があり、講演後には多くの質問が出た。またセミナ終了後の交流会にも多くの方々が参加され、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、新たな連携が促進された。

 以下、講演概要を報告する

◆基調講演:「短波長半導体発光デバイスの現状と動向」
     船戸 充 氏 (京都大学 工学研究科 准教授)
 半導体による紫外線光源についての開発の背景から研究開発の状況、市場動向について概観の後、AlGaN系窒化物半導体による紫外域LEDに関する技術の概論を説明された。続いてAlGaN系LEDにおける現状の問題点とその対策について詳しく説明された。キャリア注入効率、光取り出し効率、内部量子効率(輻射・非輻射再結合過程)の向上についての研究開発の現状の取り組みについて詳しく解説され、今後のキーとなる技術と展望が示された。

◆講演:「紫外線LEDの高効率化技術」
     村本 宜彦 氏 (ナイトライド・セミコンダクター㈱ 代表取締役)
 紫外線LED製品化のパイオニアとして、製品展開を概観した後、その基礎となる構造、製造方法に関する技術の特徴について説明された。特にPatterned Sapphire Substrate(PSS)基板上の結晶状態の改善が性能の向上に有用であることが示された。また、チップや実装に関わるデバイス構造の高効率化技術による輝度向上について紹介があった。紫外線光源による様々な応用展開の紹介があり、近年の深紫外LEDによる殺菌関連分野での活用状況が示された。

◆講演:「深紫外線LEDの研究開発」
     木下 亨 氏 (スタンレー電気㈱ 研究開発センター 課長)
 深紫外LED開発の背景に続いて研究開発の現状について紹介された。特に殺菌効果の高い波長である265nm品での高効率化のためにAlN単結晶基板を採用し結晶欠陥を低減するとともに、基板裏面に形成したフォトニック構造による光取り出し効率の向上について詳しく説明が行われた。また、深紫外LEDを用いた水殺菌用来アクターの開発状況についても紹介があり、水浄化処理分野における水銀ランプの置き換えが見込まれることが示された。


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