高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第55回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
       
          



□テーマ:「世界を変えそうな技術ベンチャー」
□日 時: 令和元年6月5日(水)14:00~17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 10-20年後の日本を支える新しい産業基盤を創るには、我国の技術ベンチャーへの取り組みをもっと活性化する必要がある。そこで今回のセミナでは、「世界を変えそうな技術ベンチャー」をテーマに、「京都市ベンチャー目利き委員会 Aランク」認定企業、及び「J-Startup」選出企業から、有力な技術ベンチャー3社を選出し、その活動紹介を行った。いずれも独自コア技術を基に、新産業創出に果敢に挑戦されている技術ベンチャーで、正に世界を変えそうな挑戦の一端を知ることができ、有意義だった。参加者は約30名で、活発な質疑、討論が行われた。

 またセミナ終了後の交流会でも、講師を囲んで事業連携の可能性等、熱心な意見交換が行われた。


 以下、講演概要を報告する

◆講演:「革新的エネルギー技術の創出と開発~事業化への展望~」
     伊藤 靖彦 氏 (アイ‘エムセップ 株式会社 代表取締役)
 アイ’エムセップ(株)は、溶融塩電気化学プロセス(MSEP:Molten Salt Electrochemical Process)技術による、環境・エネルギー・資源・ナノテクノロジー等の分野における新材料、装置・システムの研究開発、技術指導・技術アドバイザー業務を事業として、2006年に設立された。溶融塩電気化学プロセスは、溶融塩の電気化学特性を利用した、炭素メッキをはじめとする電析、電解合成、表面処理、ナノ粒子等の幅広い技術シーズを特長とする。代表例として挙げられた炭素メッキにおいては、その耐食性、耐摩耗性、接触電気抵抗、摺動性、表面硬度、熱伝導性などの特長を活かし、燃料電池のセパレータ、リチウムイオン電池の集電体、キャパシタ電極、耐食性容器、伝熱シートなど、非常に幅広い産業分野への応用がなされていることが紹介された。


◆講演:「マイクロ波化学プロセスのグローバルスタンダード化」
     塚原 保徳 氏 (マイクロ波化学 株式会社 取締役CSO)
 マイクロ波化学(株)は、マイクロ波を利用し、化学反応を分子レベルでデザインすることで、大幅な省エネ、高効率、省スペースの化学製造プロセスを事業化することを目的として、2007年に設立された。従来の化学産業は、産業界のエネルギー消費量の30%、CO2排出量の22%を占め、広大な土地を必要としてきた。そこで、選択的に分子にエネルギーを加えることができるマイクロ波の特長を活かし化学反応を設計することで、従来比電力消費量1/3、加熱時間1/10、用地面積1/5の革新的な化学製造プロセスを構築し、総額500兆円に及ぶ化学製造業の30%をマイクロ波プロセスに置き換える目標であることが紹介された。また、新規事業化において、マザー工場建設時における消防法等の許認可など、技術以外の様々なハードルも乗り越えてきたことも紹介された。



◆講演:「エッジAIのニーズと実情」
     出澤 純一 氏 (株式会社エイシング 代表取締役社長 CEO)
 (株)エイシングは、従来のクラウドAIとは異なり、導入機器自体がクラウドを介することなくリアルタイムに自律学習することが可能な独自の組込み型AIアルゴリズム「DBT」により、低コストでリアルタイム性に優れた機械制御を実現し、工場の自動化や自動運転などに適用することを目的に、2016年に設立された。機械の経年劣化や個体差補正、予測制御、複雑系制御、職人の勘の学習など幅広い応用が可能で、現在、船舶エンジン、光学センサ、FAロボット、サーボモータ、ECUなどを対象に十数社と共同開発中であることが紹介された。大手制御機器メーカとの共同開発事例として、巻き線機におけるテープの蛇行を予測制御することで、不良品廃棄を従来の1/3に大幅に削減できたことなどの成果が紹介された。



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