第63回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告 |
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□テーマ:「世界を変えそうなベンチャー3」 □日 時: 令和3年6月24日(木)14:00~17:00 □形 式: 会場(京都テルサ)/Web(Zoom)セミナ 今年度の1回目のアナログ技術トレンドセミナも、昨年度に引き続き、注目すべき技術ベンチャーの紹介をテーマとして取り上げた。今年度は、SDGs/エネルギーとDX/IoT関連の面白い技術ベンチャー3社を紹介した。いずれも独自のコア技術を基に、新産業創出に挑戦中で、世界を変えそうと注目されている有力なベンチャーであり、最新のトレンド情報を共有できた。 今回も、感染防止策を取り、会場とWeb併用システムで実施した。コロナ禍の中、会場参加者12名、Web参加者16名の参加を頂き、活発な質疑、討論が行われた。 以下、講演の概要をまとめる。 |
◆講演:「「どこでも電源」で世界を変える:塗って作製できる太陽電池」 若宮 淳志 氏(株式会社エネコートテクノロジーズ取締役 最高技術責任者/京都大学化学研究所教授) |
㈱エネコートテクノロジーズは、従来の太陽光電池の2倍以上の出力が得られ、低照度でも高効率発電が可能で、かつフィルム状で、印刷技術により作製できるため低コストという特長を持つペロブスカイト太陽電池をコア技術とする。2018年1月に、このフレキシブル太陽電池に関する、若宮教授の長年の研究成果を社会実装すべく設立された。また2019年には、多数の共同開発企業と共に、A4サイズのフィルム型太陽電池を開発し、実用化に成功した。軽量、フレキシブルなため、容易に設置可能で、かつ省スペース収納が可能という特長を持つ。第19回GSC賞(文部科学大臣賞)、日本化学会第38回学術賞、第53回市村地球環境学術賞、J-Startup
KANSAI に選出等、多数の受賞歴を有する。現在、資本金9000万円、従業員22名。 |
◆講演:「5mm角チップが世界を変えるIoT・AI時代の情報処理デバイス」 高橋 真理子 氏(株式会社SIRC 代表取締役CEO) |
㈱SIRCは、高感度磁性薄膜を簡単な半導体乗算器と組み合わせ、電流計測、電力計測、角度計測、異常周波数検出等のセンサ機能を可能にした、大阪市立大学辻本教授が開発した超小型SIRCデバイスをコア技術とする。2013年に文部科学省のSTARTプロジェクトに採択され、2015年に大阪市立大学発ベンチャーとして設立された。事業内容は、SIRCデバイスを活用した圧力メータ等IoT用センサ等の製品開発&販売、電力管理等省エネルギーソリューションや独立型電源システムソリューションの提供等。また2019年に、経済産業省「飛び出せJAPAN」事業に採択され、IoTソリューションによる、ルワンダにおける水道システムでの無収水対策事業の解決にも取り組んでいる。HACK Venture、東京ガス、Tech Accel、K4 Ventures、SMBC VC、JR東日本スタートアップ、他、多数のVC/CVCから出資を得て、現在の資本金は、資本準備金も含め6億7000万円である。 |
◆講演:「HACARUSスパースモデリング技術と エッジAI開発における高位合成開発の実例について」 大西 理王 氏 (株式会社HACARUS VP of Embedded Systems) |
㈱HACARUSは、少ないデータで特徴量抽出が可能な独自のスパースモデリング技術によるAIをコア技術とする、誤検知・過検出を抑えた外観検査技術、異変を検知する打音検査技術等の検査関連技術や、目視が必要なメータの自動検針化、認識が難しいOCR等の光学読み取り技術を可能にする。スパースモデリングは、入出力データの関係性に注目し、少量のデータから特徴を推論し、学習と推論を行える点が、大量のデータや高性能のGPUを必要とする「深層学習」とは異なる。既にMRI等の医療画像やブラックホールの撮影等で活用されている。同社は、2014年に創業し、現在従業員は75名。Japan Venture Awards 2020で中小機構理事長賞、J-Startup KANSAI に選出、他、多数の受賞歴を有する。大阪ガス、みやこキャピタル、他、多数のVC/CVCから出資を得て、累計資金調達額は13億円である。 |
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