高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第78回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告

      


□ テーマ:「生成AIを支えるデータセンターの省エネ技術の動向」
□ 日 時: 令和6年3月5日(水)14:00~17:00
□ 会 場:京都テルサ ※ Web(Zoom)配信あり


 ChatGPTの衝撃的な登場によって始まったAIはブームというより社会変革になろうとしています。生成AIなどは将来、人間活動のかなりの部分を置き換えられる可能性が議論され、我々の生活を様々な面で変えてい行くことが確実視されています。一方、AIを備えたデータセンターでは多大な電力を消費することが予測され、地球温暖化対策としてCO2の削減の方向と相反するものになっています。
 今回のセミナーでは、このようなデータセンターの省エネ化を進めなければならない状況下における取り組みについて3名の講師の方から、最新情報と将来展望について、ご講演をお願いしました。
 会場参加者と合わせて46名の参加をいただき、活発な質擬、応答をいただいきました。

◆講演:「生成AIで急成長するデータセンターと半導体・電子部品への影響」
         中村 剛 氏 (株式会社産業タイムズ社 大阪支局 電子デバイス産業新聞副編集長/大阪支局長)
 現在、生成AIの出現によって、爆発的な市場拡大は今後10年で数十倍になると見込まれている。それによって需要の拡大が見込まれる様々な電子部品や半導体分野における製品の動向についてお話しされた。主流のNvidiaのGPUをベースにしたH100やH200などのモジュール(チップレットと呼ばれる)に使われる積層メモリー(HBM: High Bandwidth Memory)や周辺受動部品の動向などについて講演された。特に実装される電力変換用のGaNデバイス、キャパシタやバックアップ用のリチウム電池、高周波体対応するコネクタなどは大きな市場成長が見込まれる。
◆講演:「日本アイ・ビー・エム株式会社様のご紹介」
          坂本 佳史 氏 (日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM Distinguished Engineer IBM Research エッジコンピューティングCTO)
 AIがビジネス的に成功するためには、膨大な投資とそれに伴う電力消費が必要になる。IBMにおけるAIチップ開発でアナログ回路技術が1つの鍵になることを説明された。H100と同じ7nmノードで試作されたチップはこれまでのAIチップを遥かに凌駕している。更に最もエネルギーを消費する学習工程と生成AIの特徴である演繹的な推論などを行う機能を分ける方向についても提案された。
◆講演:「IOWN/APNにおける光アクセス技術の最新動向」
          吉田 智暁 氏(日本電信電話株式会社 NTTアクセスサービスシステム研究所 プロジェクトマネージャ)
 IOWN (Innovative Optical and Wireless Network) はNTTにより提唱され、構築しようとする通信・ネットワークの革新的なインフラ構築プロジェクトであり、このために組織化されたGlobal Forumには世界150社以上が参加している。核となる技術は光電融合モジュールであり、シリコンフォトニクスと薄膜レーザーなどがモジュールの基本構成である。これまでの電気的なネットワークに比べて伝送速度の向上とともに、電力消費を1/100に低減できることが期待されている。本講演ではIOWNの戦略的な構成と現時点で実現されたネットワークの状況についてお話しされた。

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