| 第82回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告 |
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![]() □ テーマ:「量子コンピュータの現状と今後の動向」 □ 日 時: 令和8年2月26日(木)14:00 ~17:00 □ 会 場:京都テルサ※ Web(Zoom)配信あり 生成AIの進展等、コンピュータ計算能力の大幅な向上が必要とされる中、能力向上と消費電力低減を同時に実現するための技術ブレークスルーとして量子コンピュータが期待されている。既に様々な方法での実用化が進んでいるが、誤り耐性や汎用性等の課題もあり、技術そしてビジネスとしてのさらなる進展が期待される状況となっている。今回のアナログ技術トレンドセミナでは、量子コンピュータに関して先導的な研究を推進している国内の著名な研究者3名を招き、最新の研究およびビジネス動向について、講演を頂いた。 セミナには会場に14名、リモートで24名の方々が参加し、活発な議論・質疑応答が行われた。 以下、講演の概要をまとめる。 |
| ◆講演:「量子コンピュータの最新研究開発・ビジネス動向 ~高周波・アナログ技術への期待~」 川畑 史郎 氏(法政大学 情報科学部 教授) |
| 川畑教授より、量子コンピュータに関する最近のトピックスが紹介された。 2025年は国際量子科学技術年であり、量子コンピュータ関連技術がノーベル物理学賞を受賞、量子技術が日本政府の重点投資対象分野に選定される等、実用化への取り組みが大きく加速した1年となった。量子コンピュータにはエラー訂正ができない現状のNISQ(ノイジーな中規模量子コンピュータ)からエラー訂正不要なFTQC(誤り耐性量子コンピュータ)に進化する必要がある。計算能力を高めるためには量子ビット数を増やす必要があり、様々な方式において、量子ビット数の増加と誤り訂正不要な量子コンピュータ(FTQC)実現に向けた研究開発が加速している。ここでは最も実用化への取り組みが進んでいると思われる超伝導方式と中性原子方式について技術の概要と課題が報告された。超伝導量子コンピュータは極低温での動作が必要であり、日本の中小企業の匠の技が生かされていることに加え、高周波・アナログ技術が重要であることが示された。 |
| ◆講演:「イオン型および中性原子型量子コンピュータの概要と大阪大学での取り組み」 土師 愼祐 氏(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 准教授) |
| 土師准教授より、量子コンピュータのうちイオン型及び中性原子型について概要と大阪大学での取り組みが紹介された。これらの方式は単一の粒子をレーザ光により操作・読み出しを行うため均一性が高いのが特長であるが、ビット数拡張が課題となってきた。ここでは、イオン型量子コンピュータ装置の概要が説明され、RF・DC両電極を有するイオントラップの実物も回覧された。イオントラップにおいては、例えば30MHz、2000V程度の交流電圧が必要であり、超伝導方式と同様に高周波・アナログ技術が重要であることが示された。 |
| ◆講演:「誤り耐性量子コンピュータに向けたスケーラブルな高集積量子誤り訂正システムの開発」 小林 和淑 氏(京都工芸繊維大学 電気電子工学系 教授) |
| 小林教授より、自己紹介に続いて、自らが担当する「誤り耐性型汎用量子コンピュータ」に関するJSTムーンショット開発プロジェクト(目標6)の概要が説明された。現状のノイマン型コンピュータをベースとした半導体の進化では消費電力の爆発的増加が避けられないため、集積回路の研究者が続々と量子コンピュータの研究に参画していることが示された。プロジェクトの目標はFTQC(誤り訂正不要)に向けたシリコン集積回路の開発とこれらを用いたシステムを構築することにあり、2025年に100物理量子ビットに対応したプロトタイプを、2030年には100万物理量子ビットに対応するシステムの実現を目標にしている。ここでは、項目別の開発進捗状況とマイルストーンが、合わせて示された。 |
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