◆セミナー報告 ≫第9回セミナー(19.11.05)報告
第9回 高周波アナログ半導体技術セミナー報告
□テーマ: 「SiC電力デバイスの現状と将来」
□日 時: 平成19年11月5日(月)14:30〜17:00
□場 所: 京都テルサ 京都府民総合交流プラザ内)

 平成19年11月5日、京都で第9回の上記セミナが開催された。
 今回のテーマは、「SiC電力デバイスの現状と将来」である。参加者は40数名で、いつものように活発な討議が行われた。
 また、講演終了後、交流会でも約20名の参加を得て、熱気に溢れた意見交換が行われた。
◆基調講演:「SiC電力デバイス回路応用」
          引原 隆士 氏 京都大学 大学院 工学研究科 教授 
 基調講演は、「SiC電力デバイス回路応用」と題して京都大学教授の引原隆士氏によって行われた。
 SiCショットキーダイオード(SBD)、SiC-JFET及びSiC-MOSFETの室温から450℃までの静特性を明らかにすると共に、これらのデバイスを用いたDC/DCコンバータなどの回路特性について詳細な解説があった。
 ハイブリッド自動車、航空機や宇宙用で200℃以上の高温下動作のSiCによるスイッチング特性は期待できる。しかしながら、個々のデバイスの電気的特性の不均一性や回路構成上の同時スイッチングなどに更なる研究が必要である。
 SiCデバイスの良さを引き出すには、電気回路側からのSiCデバイスに対する提案が不可欠であると指摘された。
◆講演1.:「SiCパワーデバイス開発の現状」
          中村 孝 氏  ローム(株) 新材料デバイス研究開発センター 課長
 次いで、ロームの中村孝氏による「SiCパワーデバイス開発の現状」について講演があった。
 ロームとしては、現在、10-20A領域で600-1200V耐圧のSiCデバイス(市場規模;約2,000億円程度のところ)を狙っている。SiCショットキーダイオード、SiC-DMOSの温度特性について明らかにし、100A超級SiCインバータモジュールのスイッチング特性の説明があった。既にダイオード内臓型モータの高温動作実験についても、200℃の高温下でも動作することを実証し、省電力効果を確認している。
 なお、量産用高品質エピタキシャル装置も京都大学木本教授らとの共同研究で開発した。現在、パワー産業界では、省エネ効果を狙って効率を0.1%でも1%でも上げたいというのが現状であり、SiCデバイスに期待が集まっているとのことであった。
◆講演2.:「SiC単結晶基板の技術課題 −デバイスの高性能化に向けて−」
          大谷 昇 氏 新日本製鐵(株) 技術開発本部 先端技術研究所 主幹研究員
  「SiC単結晶基板の技術課題」ーデバイスの高性能化に向けてーと題して、新日鐵の大谷昇氏による講演があった。
 新日鐵は、SiCの結晶欠陥の低減に向けて、解析・分析も進み、また、単結晶インゴットの製造に独自の計算シミュレーションを導入し、4H型SiCの100mm径、実質マイクロパイプフリー基板の製造法を確立している。CREEを越えられるかについては、CREEに勝つことではなく、シリコン(Si)に勝つのを目標にしていると力強く宣言された。

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