高周波アナログ半導体ビジネス研究会

セミナー報告 ≫第37回セミナー(26.11.26)
第37回 アナログ技術トレンド(HAB研)セミナ報告
※ 高周波・アナログ半導体技術セミナより、セミナ名称を変更しました
                 

□テーマ:「新しいワイドギャップ半導体;酸化ガリウムデバイスの動向」
□日 時: 平成26年11月26日(火)14:00〜17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 近年、高耐圧、低損失のパワーデバイスとしてシリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などのワイドギャップ半導体による製品が実用化されている。 また次のワイドギャップ半導体材料として 酸化ガリウム(Ga2O3)が注目を浴びている。特に製造面で結晶が作りやすいという利点が挙げられており、量産性、コストに対して期待されている。
 そこで、今回は、「新しいワイドギャップ半導体;酸化ガリウムデバイスの動向 」をテーマに、この事業・技術分野の最先端でご活躍の方々を講師としてお招きし、最新の状況、将来動向などをお話し戴いた。
40名の参加があり、講演後には活発な質疑応答がなされた。また、セミナー終了後の交流会にも多くの方々が参加され、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、様々な新たな連携が促進された。
 以下、講演概要を報告する。
◆講演:「酸化ガリウムパワーデバイス研究開発の現状と今後の展開
     東脇 正高 氏((独)NICT 未来ICT研究所 グリーンICTデバイス先端開発センター長)
 パワー半導体の市場においてGaN,SiCを材料にした素子が幅広く使われはじめた。更に省エネルギー社会実現のキーデバイス として新しい可能性のある酸化ガリウムを素材にしたデバイスが期待されている。 Ga2O3は大きなバンドギャップが特徴でオン抵抗-耐圧関係からGaN,SiCを上回る特性が期待できる。試作したMgドープ半絶縁βGa2O3上にMBEで成長したSnドープGa2O3 MESFET でドレイン電流ON/OFF比〜4桁が得られている。 最近の成果としてMBEによるSnドープチャンネルMOSFET及びSiイオン注入チャンネルのMOSFETはドレイン電流ON/OFF比10桁以上の特性を得ている。
 今後、更に基礎技術開発フェーズと展開されていく。
◆講演:「酸化ガリウムの結晶成長 および LED応用」
     倉又 朗人 氏(潟^ムラ製作所 コアテクノロジー本部シニアスペシャリスト)
 酸化ガリウムの応用としてパワーデバイスの他、発光ダイオードなどの光デバイスにも期待がかかっている。結晶成長では2インチ基板が既にサンプル出荷がなされており、研究段階では6インチバルク結晶も可能となっている。特徴としては大気圧での成長が可能なため、安価に製造可能なことである。MBEによるGa2O3 on Ga2O3, MOCVDによるGaN on Ga2O3も研究されてきている。
 SiNxをマスクにしたバッファー層によるGaN on Ga2O3の縦型LED は大電流駆動条件下で市販ハイエンド品を凌駕し3,000時間の動作も確認されている。Ga2O3はLED用基板として大いに期待される。
◆講演:「酸化ガリウム系半導体の機能と期待される応用」
     藤田 静雄 氏(京都大学 工学研究科 光・電子理工学教育研究センター 教授)
 酸化物半導体はヒ素、リンなどの元素を含まないためGreen Materialであり、ワイドバンドギャップ半導体としてパワーデバイス、センサー、紫外光デバイス等の環境デバイスへの応用が期待できる。これまで酸化物半導体は「不安定なのでデバイスには使えない」という悪い噂があったが、それはこれまでの中途半端な自然酸化膜などによる経験から言われたもので、ちゃんとした単結晶酸化物半導体を作ると決してそんなことはない。酸化ガリウムの結晶成長はMBE,ミストCVD,MOCVD,HVPEなど各所で研究されている。酸化ガリウムパワーデバイスは研究は初期段階ではあるが将来有望なデバイスである。280nm以下の深紫外線領域でのセンサーとしても有望な素子である。ZnOにおいてえられたミストCVD技術の知見が Ga2O3 素子にも有益な効果をもたらすと思われる。 

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