高周波アナログ半導体ビジネス研究会

セミナー報告 ≫第39回セミナー(27.06.29)
第39回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
           

□テーマ:「IoT/インフラを支えるセンサーネットワーク」
□日 時: 平成27年 6月29日(月)14:00〜17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 近年の半導体技術、通信技術、ネットワーク技術の発展に伴い、あらゆるものをインターネットに接続する技術、いわゆるInternet of things(IoT)が急速に発展してきている。加えて、半導体技術、MEMS技術、ナノテクノロジー、プリンテッド・エレクトロニクス技術の進展によりセンサーの小型化、フレキシブル化、低価格化、省電力化が進み、いろいろなものにセンサー(Trillion Sensor)を取り付けネットワークに接続し、それらから得られる膨大なデータを解析(ビッグデータ解析)することにより、新たな価値を生み出そうとする流れ(インダストリー4.0など)が加速してきている。
 こうした流れの中で、今回は「IoT/インフラを支えるセンサーネットワーク」をテーマに、社会インフラあるいはIoTを支えるセンサーネットワーク技術に焦点を当て、その動向と個別技術について専門家の方をお招きし、下記の要領でセミナを開催した。
 38名の参加があり、講演後には多くの質問が出た。またセミナ終了後の交流会にも多くの方々が参加され、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、様々な新たな連携が促進された。
  以下、講演概要を報告する。
◆講演:「社会インフラを支えるセンサーネットワークの動向
     渡邊 敏康 氏 (NTTデータ経営研究所 公共行政サービスコンサルティングユニット マネージャー)
 モノの進化において、自動車や航空機を例に、センサーによる制御の高度化が進んだことが説明され、続いてCPU、ストレージ、通信技術の向上によりセンサーネットワークが飛躍的に発展し、活用分野の拡大が活発化していることが示された。社会インフラの老朽化への対応としてセンサーネットワークの活用の研究・実証が進められていること、センサーネットワークにおける物理、ネットワーク、アプリケーションの各階層の役割および各層における進化が紹介された。さらに、現実世界と仮想世界をつなぐのがセンサーネットワークであり、その活用が進む契機としての通信技術、コンピューティング技術の動向が示された。
◆講演:「エネルギーハーベスティングを活用した建物内ワイヤレスセンサーネットワークシステムの開発」
     山中 一克 氏((株)竹中工務店 エンジニアリング本部 課長)
  近年、センサーネットワークに対する期待が高まる一方で、膨大な数のセンサーへ如何に電力を供給するかがクローズアップされている。これに対応する技術として、振動、光、熱、電磁波などの未利用のエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング技術が注目を集めている。本講演では、人の歩行や設備機器などによって建物内で日常的に発生している微小かつランダムな環境振動のエネルギーを電力変換する技術として、対応する振動周波数帯を拡大する二質点系振動発電デバイスが紹介され、オフィスビルでの実証実験、今後期待される建築関連分野での活用の展望が示された。
◆講演:「高信頼性ワイヤレスセンサーネットワークの築」
     粟屋 錬太郎 氏(東京エレクトロンデバイス(株)フィールドアプリケーションエンジニア)
  Dustnetworks社が開発したワイヤレスセンサーネットワークシステムに関する技術内容が紹介された。時間同期の機能によりすべてのノードが親機と同期し、通信が終われば全ての子機がスリープすることにより消費電力を抑え、バッテリ駆動となっている。また、周波数冗長性、空間冗長性も導入され、高信頼性が実現されている。工場での機器の状態・状況を管理するプロセス制御、エネルギー管理、社会インフラの監視などへの応用市場が広がりつつあり、道路や駐車場の空き情報の収集、課金管理などのスマートシティ化への取り組みなども紹介された。

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