高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第61回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告


□テーマ:「次世代通信ネットワーク;ローカル5Gの動向」
□日 時: 令和2年10月19日(月) 14:00~17:00
□形 式: 会場(京都テルサ)/Web(Zoom) 
  モバイル通信は、現在のICTがリードする世界では不可欠な基幹技術です。しかし日本は久しく世界の先端から遅れをとっており、政府もポスト5G世代での再起を目指して、大きな研究予算を投入しつつあります。モバイル通信はデバイスからシステム、そして広範なアプリケーションに至る非常に広範な領域をカバーしています。そこで今回のセミナでは、我が国のモバイル通信産業の復権に寄与するため、最新の5Gの状況を理解し、日本のモバイル通信産業をどう復権させるか議論が出来る場の提供するため、「ローカル5G」をテーマに取り上げました。モバイル通信の標準化の歴史、グローバルな視点での技術の状況、実証の現状、またユーザ視点から見たユースケースを著名な講師陣にお願いし、活発な質疑が行われた。また、今回コロナ禍の状況下で、初めて会場とウェブの同時進行で講演が開催された。


 以下、講演の概要をまとめる。
◆基調講演:「無線通信の標準化の歴史から見た5G、ローカル5G」
     原田 博司 氏(京都大学 大学院情報学研究科 教授)
 公衆系並びに自営系無線通信の世界規格化の歴史を振り返りながら、5Gの規格の必然性を詳らかにすると言うユニークな展開であった。各世代の通信技術のポイントが簡潔に説明された。IoTで成功するためにはコストに余裕がある産業ユースであることが重要であり、原田先生自ら規格化を推進したWi-SUNを電力メータへの採用で普及させたこと、同様の理由で5G世代でローカル5Gが大きく普及するとの意見は非常に納得性があった。また、無線通信の世代交代は10年周期であり、日本の企業がこの時間を我慢できないため、遅れを取ってしまったとの指摘があった。本格的な普及は5~7年目に新しい製品技術が市場に出て一気に普及するサイクルを理解した上で取り組むことが重要である。

◆講演:「5G/ローカル5Gの現状とビジネス展開」
     藤岡 雅宣 氏 (エリクソン・ジャパン株式会社 CTO)
 世界的通信機器メーカであるエリクソンジャパンで長年技術のトップとしての経験をベースに、5G、ローカル5Gの技術と、各国の最新の取組みについて紹介があった。今後、5Gの低遅延、高速、多接続を生かしたAR/VR等のコンシューマアプリケーションの発展、産業用用途での展開が5Gの機能拡張を牽引する。成熟期には固定網と一体化で固定アクセスとモバイルアクセスがシームレスに利用可能となると予測される。


◆講演:「ローカル5G/6Gに向けたアプリケーションイメージについて」
     岩浪 剛太 氏 (株式会社インフォシティ 代表取締役)
 総務省第5世代モバイル通信フォーラムのアプリケーション委員長として、ユースケースを踏まえながら5G、ローカル5Gの規格、普及状況について説明があった。また、5Gの低遅延、高速、多接続を活用した新しいデバイス端末の紹介、アプリケーションの視点からどのようなユースケースが実証試験で進められているかの紹介もあり、これらが産業のリミックスを促進し、「異分野の産業×技術革新×5G=新サービス」を生み出すことを予測され、産業構造の大きな変革をもたらす。この潮流に日本が乗り遅れないように、産業横断的な活動が非常に重要である。


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