高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第65回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告

       
□テーマ:「日台連携;世界を変えそうな台湾技術ベンチャー」
□日 時: 令和3年12月8日(水)14:00~17:00
□形 式: Web(Zoom)セミナ 


 HAB研は日本と台湾ベンチャー企業との連携を事業の一環として推進し、ここ数年セミナを開催し日台の有力企業/有力技術ベンチャーや技術ベンチャーの生態系などを紹介してきました。
 台湾はこれまでTSMCのような世界を変える企業を育成し、TSMC以降も半導体やITなどの主要産業で多くのスタートアップが創出され、それらの技術力は世界で評価されています。
 そこで今回はITRIやTaipei Computer Associationなどの協力を得て、台湾でイノベーション関連のコンペティションで数々受賞した威爾動力株式会社の王韋堯CEOや、展綠科技株式会社の吳仁作CEO、起而行緑能社の簡金品CEOを講師にお招きして、Webセミナを開催しました。3社ともサーキュレーション社会の実現に向けて欠かせないIoT、充電技術といった先進分野の技術開発を進めており、それぞれのコア技術を始め、技術の優位性、実装事例、今後の事業の展望などについて講演していただきました。各講演後の質疑応答においては、各社の技術や台湾のベンチャー企業支援策などをめぐって活発な討論が行われました。


 以下、講演の概要をまとめます。


◆講演:「EV Charging Solution -SMART STATIONTM System」
     王 韋堯 氏(威爾動力股有限公司WILLPOWER 執行長)
 本講演は、同社が電気車両の充電問題を解決するために打ち出したスマートステーションの設計について説明しました。EVは多様な運搬機器や地域性を考えると、充電の規格問題が生じます。また、同社のスマートステーションは単なる充電だけでなく、コンビニのような多様のサービスを提供する拠点を目指しています。そのため、パーキングエリアに充電モジュールを設置し、ユーザーは自らのスマートフォンアプリから充電状況に関する情報を入手できるように開発しました。システムの設計として、機能、コミュニケーション、応用の3層構造となり、特にコミュニケーション層には携帯とLPWAN(Low Power Wide Area Network)の2つのネットワークを搭載し各国の通信規格に対応する最適なモジュールを設計する点、OSもダブルシステムを入れ込む点が技術上の特徴です。充電モジュールの交換だけで各国で使用できるなどのメリットがあります。


◆講演:「3 Enlighten Cloud-Set Your Foot in Smart Manufacturing」
     吳 仁作 氏(展綠科技股?有限公司3Egreen CEO)

 本講演は、CO2排出のネットゼロの実現に向けて急務となったIoTのトランスフォーメーションに焦点を当てました。同社は15年間培った無線伝送の研究開発経験や電力制御の専門知識を活かし、カーボンフットプリントの精査に独自のクランプ(スマートメーター)を開発しました。クランプは電流が電磁波を発生する特性を生かし電気消費量を演算し、また電磁波から充電するなどの独自の技術を採用しています。そのため、同社のクランプは装着簡単、設備異常の警報、電池の自動充電、デバイス間のデータ統合可能、停電なしの設置、コストダウンなどで他社に対し優位性を持っています。なお、半導体や大手電機メーカーなどでの導入実績、また同社の大企業・中小向けのビジネスモデルも紹介されました。今後の事業展開として、ビッグデータ分析・AIサービスを提供できるマッチングプラットフォームの構築を目指しています。


◆講演:「台湾の充電環境の現状とeTreego充電技術の開発計画」
     簡 金品 氏 (起而行緑能公司eTreego CEO)
 eTreegoは2017年にITRIからスピンオフした、世界唯一2輪、4輪、8輪のすべての電気車両の充電ソリューションを提供する企業である。本講演では電気自動車の充電仕様の多様化や台湾の公共充電ステーションの設置状況等を踏まえ、同社の事業戦略や技術を紹介していただきました。同社は、2015年に独自の電気バイク向けの10分間急速充電技術を開発した後、家庭用・業務用、各種EV車両、世界主要国のほとんどの標準充電規格に対応する充電技術(普通充電・急速充電・無線充電も含む)を開発しコア技術として確立しています。開発した製品は台湾政府や多くの世界主要自動車メーカーに納入され、現在事業の開拓期に入り日本市場の開拓に主力を置いています。ここ5年間の計画として、IoT、V2X、充電速度の向上の3つの方向に開発を進めていく予定であり、様々な企業との連携を通じてこれらの技術の実現を目指しています。



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